さあて。今まではなかなか思うように戦えなかったけど、もうこれで終わりにさせてもらう。この国の災いの元は俺達の手で断ってやるんだ。
からくり兵どもの拠点の内部は俺が今まで潜って来たどのダンジョンとも異なり、壁一面が金属で覆われていた。床や壁にはパイプのようなものが巡らされ、何に使うのか解らない機械が至る所に置かれているのが目につく。そしてそれらを、松明の炎や炉から漏れる光が無気味に照らしだしている。辺りにはサビと油の臭いが漂っていて、あんまり長居はしたくないってカンジだ。
造りは大して複雑じゃないのでずんずん進めた。途中でからくり兵や初めて見るモンスターと戦ったが、もう俺達の敵じゃあない。リフトを使いながら奥へ奥へと潜っていき、やがて「いかにも」な場所に辿り着いたのだった。
最下層にあったその場所はとても広く、そのへんに転がっていたどの機械よりも大きいものが据えられていた。中央には赤い絨毯が敷かれており、そこには親玉らしき奴がいる。というかこのシチュエーションからしてこいつが親玉である事は間違いないだろう。部屋の隅に宝箱があったのでまずそれを開けて石版を手に入れてから、俺達は親玉の前に立ちはだかった。
「なに!貴様達どうやってここへやってきたのだあ?まさかあれだけの数のマシン兵達を全て倒したというのかあ?いやっバカな!人間風情がいくら束になったとてそんなことはありえんーーー!」
なんかよくわかんないイントネーションで喋る緑色のそいつは、金の兜と広範囲を覆う鎖帷子、大きなモーニングスターで武装しているモンスターだった。ついでに言うとちょっと細めだ。
「いや…それは試してみればたやすく解る事だ。いけっ、マシン兵達よお!」
親玉が手をふりかざすと、突如からくり兵3体が俺達をぐるりと囲んで攻撃してきた。こいつらの正式名称はマシン兵っていうのか。まあどうでもいいけど。瞬殺したから。
「なにっ、どうしてマシン兵達が言う事を聞かんのだあっ!」
俺達にあっさり部下をやられて狼狽えまくる親玉。からくり兵が言う事を聞かなかったんじゃなくて、俺達が強かったってだけの話じゃねえかよ。
「ぬぬう…。こうなったら仕方ないい!貴様等ごときこのワシ自ら引導を渡してくれるわあ!」
叫びとともにからくり兵達の親玉、マシンマスターが襲い掛かってきた。どうでもいいけどヒネリのねー名前だぜ。
「んっ、こいつはからくり兵じゃないみたいだな、アナゴン」
「ふんっ。からくり兵の親玉にしては弱っちそうじゃない」
「こいつがからくり兵を操っていやがったのか!こいつを倒せば…」
一件落着ってスンポーよ。覚悟しやがれこの大バカヤローがっ!!
瞬殺。
早いわーっつーか弱えーーーーーっ!!
またしてもあっという間に倒してしまった。今度はザコではなくて親玉をだ。
ていうか弱すぎ!なんだよ、こんなつまんねー貧弱青虫野郎のせいでこの国は大変な目に遇ってたってのか!まったくやりきれねーぜ。
「ぬっ、はああっ!ぐぐう…。魔界で最強のマシンマスターと呼ばれたこのワシが負けるとはあっ」
ボロボロになって地面に倒れふしたマシンマスターが、忌々し気に俺達を見上げる。
「魔王様より預かったマシン兵団で人間を恐怖のどん底にたたき落とすこの計画!よもやこんな形で失敗するとはあっ。ぐふうっ!」
瀕死の状態なのによくそんな説明的な事が…って、魔王?!そいつがからくり兵を造ったって?
俺はついこの前、オルフィーの事件の時に耳にした不吉な存在の事を思い出した。
「こうなればもうどうにでもなれ。この大陸ごと消し飛ぼうとワシの知った事ではないわあ。来たれえ、最強のマシン兵よおっ!わははははははあっ!!」
ってなんかイヤーな事言って笑いはじめましたよコイツ。まあ落ち着けって。
「来た!来たぞおっ。わはははははあっ!魔王様の命令など知った事か!人間どもなど全て滅びてしまうがよいわあっ!わはははははあっ!!」
ヤケを起こしたマシンマスターは、最後の力で最終兵器を呼び出した。なんか上からでっかいのが降って来て、マシンマスターはそいつに潰されて絶命する。あーあ。
「ハカイ…セヨ。スベテヲ ハカイ…セヨ」
新手のデカブツは魔物の顔をモチーフにした鎧に両手の大剣と、これまでのからくり兵とはまったく違うデザインだった。…なんて呑気に観察してる間もなく襲い掛かってくる。どうやら今度は瞬殺とはいかないようだ。
「うわっ、すげえ怖いカオしてっぞこのからくり兵!」
「こ、こいつはちょっと今までのからくり兵とは違いそうね」
「くそっ、こんな隠しダマがいやがったとは…。いけそうか?アナゴン!」
行くっきゃねーだろ!でなきゃこっちがやられちまう。
幸いさっきの戦闘でも大した傷は受けていない。俺達は最後の敵、デスマシーンに立ち向かった。…ってまた安直な名前ー!
2本の大剣を同時に降り下ろしてくるデスマシーンの攻撃は、それは重かった。加えて火の息、マジックバリア、捨て身攻撃。挙げ句2回攻撃だ。マシンマスターなんかより全然芸があっておまけに強い。俺達は相当なダメージを受けながら応戦する。
やがてデスマシーンのHPが尽き、俺達は戦闘に勝利する事が出来た。終わってみればそんなに苦戦でもなかったが、楽勝でもなかったな。
「ダメージコントロール フノウ。キノウテイシ…」
ドカン!
とデスマシーンは爆発し、己の破片をまき散らしながら消えていった。
こうして、国を救う最後の戦いは終わったのだった。
|