ドラクエ7冒険記 <さくさくDQ劇場

FILE:48「心を持たないマシン獣」
気を取り直してゼボットの所へ行く。元宿舎だ。

宿舎の中では味方からくり兵を整備しているゼボットと、それを見守るトラッド兵士長がいた。
「ワタシノナマエ えりーデス。ヨロシクネ」
相変わらず機械的な(平仮名とカタカナを逆にする)声でからくり兵が喋った。どうやら名前がついたらしいな。って確か、エリーってのはゼボットの研究所にあったアレなんじゃなかったっけ。他の女…じゃなくてからくりに鞍替えしたのか。
しっかし、この凶悪なデザインにエリーって名前は全然合ってないと思うぞ。
「それにしてもこいつの動力源は一体何なんだ。永久に動き続ける装置…。この装置の謎が解ければ僕の夢は叶うのか…。永遠の命が……」
ゼボットは相変わらずブツブツ言いながら作業に没頭している。こいつも独り言の好きな奴だな。
ていうか、動力源の不明なものをここまで改造できたのは凄いと思う。
「よしエリー、もういいよ。
 …トラッド、調整は終わったぞ」

「エリーか…。やはりまだあの時の事を忘れる事は出来んのだな。エリーはもう居ないというのに…。
 さて、調整も終わったな。ではそろそろ出発しよう。これが最後の戦いだ。ゼボット!からくり兵は借りていくぞ。いいな?」

「僕も行くぞ。エリーを一人にはしておけない…」
「ふん…勝手にしろ。お前の命の保証は出来んからなっ!」
「お前が守れた命など今までにいくつあった?」
「……」
兵士長は押し黙ったまま、宿舎を出ていった。うわあ、ドロドロしてんなあ。ていうかゼボットまで来るんですか。ていうか俺達の存在無視してませんか貴様等。
「二人があの調子じゃ何だか先が思いやられるな」
とキーファも呆れ顔だ。かたやマリベルは、
「エリーって一体誰なのかしら。気になるー!」
と興味津々。お前はこういう時にそういう事言うな!ったく女ってのは。
まあ確かに気にはなるが、俺達が色々詮索する事でもないだろ。

そんなこんなでいよいよ出発だ。俺達と兵士長&ゼボットは別々に発ち、一旦フォーリッシュで落ち合うという事になった。
城の正面入り口には、城の兵士や使用人達が大勢見送りに来ていた。勝利への期待がバリバリ伝わってくる。俺達が失敗したらもう後が無いからな。
「この城の守りはわしらに任せておけ!お前達は余計な事は気にせず敵の親玉の首をとる事だけ考えろ!」
「敵の親玉と会ったら一言いっといでくれよ。この大バカヤローってな」
「兵士長どの!よい知らせをお待ちしていますぞ!」
皆の声援に見送られながら、俺達は城を出発する。何があっても負ける訳にはいかないな。負ける気なんてサラサラねえけど。



フォーリシュの街は、それはもう無惨なものだった。
街中には噴煙が漂い、至る箇所が破損している。屋内には怪我人と精魂尽き果てた生存者。そして無数の棺桶…。
俺は言葉もなかった。これが戦いに破れたものの末路なのか。俺達がこれからの戦いにもし負ければ、国全体がこんなふうになってしまった挙げ句闇に閉ざされ、世界から消えてしまうんだろう。
ふと、ゼボットが言った言葉を思い出した。あいつはこの惨状を見ても同じ事を言うんだろうか。いわれのない暴力によって失われた命を目の前にしても「人間はどうせいつか死ぬ」「本当に可哀想なのは人間じゃない」とか言うんだろうか。
確かに親玉の命令で人を襲い続けるしかないからくり兵は可哀想かもしれない。でも人間にとっちゃあ、死ななきゃならない理由としてはあんまりすぎるぜ。俺にはゼボットの考えがどうしても理解できなかった。


街で兵士長達と落ち合った後、俺達はついにからくり兵の拠点へとやって来た。急なガケにぐるりと囲まれた窪地のような場所で、見下ろすとアホみたいにからくり兵がウヨウヨいて、拠点内部の入り口を固く守っている。
「よしアナゴン!すぐにこの敵拠点へ乗り込むぞ。覚悟は出来ているな?」
当然だ。
俺達より先にフォーリッシュを出発したのに、何故か遅れて出て来た兵士長の言葉に答える。
「うむ!まずは私達が向かい、敵からくり兵を混乱させる。そのスキに諸君らは敵拠点内に突入し、親玉を探し出しこれを討て!!では作戦開始!いくぞ!」
おーいそれってお前かなりラクしてねーかー?という俺のツッコミは兵士長の気合いの前に音速で吹っ飛び、かくして国を救う最後の戦いの火蓋は切って落とされたのだった。エリーが妨害音波を放出すると、眼下のからくり兵達は一斉に混乱しだす。
「ふむ…。どうやら敵はまだこのエリーの存在を知らないようだな。」
戦地だというのに緊張感のカケラもなく、ゼボットは落ち着きはらって静観している。エリーの力を一番良く知ってる故の余裕なんだろうな。
拠点に踏み込もうとする俺達4人に奴は言った。
「ふん…。拠点の中までこの妨害電波が届いているかどうか、分らんぞ」

忠告どうも。でも俺達だってそこまで期待はしてねえよ。
混乱し続けている見張りのからくり兵を兵士長達にまかせ、元凶と対峙する為、俺達は拠点内部へと侵入を開始したのだった。
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