ドラクエ7冒険記 <さくさくDQ劇場

FILE:47「ロボットだから マシーンだから」
朝が来た。床で寝たので身体の節々が痛むぜ。
激しい戦闘から一夜明けた城内は、怪我人がごろごろ転がっていて昨日の戦いの様を物語っている。一人も死人が出なかったのは不幸中の幸いってやつか。ちなみに王様と姫は地下の王族用避難所にいる。
朝飯もそこそこに、俺達はまず兵士の宿舎へとやって来た。。そこは兵士用のベッドはすべて撤去されていて、ゼボットと壊れた敵からくり兵、そしてトラッド兵士長がいる。
「ちっ、こいつもダメだ。僕じゃもう直せない。あのバカ戦士め!もしやあいつの仲間が増やせるかもしれないと思って道具まで運んで来たってのに」
ゼボットは敵からくり兵をいじる手を止め悪態をついた。どうやら思うようにいかなかったらしい。
「まあ、怪我した兵士達をこの部屋から追い出すってのはなかなか面白かったがな」
なんですってこの野郎。俺達はともかく怪我人まで床で寝るハメになったのはお前のせーか!こいつはいつか絶対殴ってやろう。
俺達の怒りの視線をさらりとかわし、ゼボットは問いかけて来る。
「このからくり兵は一体誰がどうやって作ったのか知ってるか?」
しらねーよ。それが解れば苦労しねーし。
「ふん…。だろうな。こいつはとても人間なんかに作れる代物じゃない。こいつはおそらく魔の力を持つ者が作ったんだろうな。だからこそ全てを壊し人を襲う……。そんな命令が下されていたんだ。本当に哀れで可哀想なのはこいつらさ。この国の人間達じゃない」

…そりゃ違うんじゃねえか?
こんな事態で、どっちが哀れで可哀想かなんて関係ねーよ。襲われるから身を守る。守りたいものがあるから戦う。死にたくないから、生きようとする。そいつはいけない事か?からくり兵そのものが悪じゃないって事は理解出来たけど、だからって人間を見殺しにする道理にゃならねえだろ。降り掛かる火の粉は払うのが当たり前だし、甘んじて受ける理由なんてない。
「もしかしたらからくり兵っていいヤツかもしれないぞ。オラそんな気がするんだ。アナゴンはそう思わないか?」
要は使う奴次第って奴なんだろ?そういう意味では、からくりってのは主人を写す鏡みたいなもんなのかもな。
「からくり兵が魔物の仲間なんて事はとっくに分かっている事じゃない。あいつらのせいで何人もの人が苦しんでいるのよ。可哀想なんかじゃないわ!」
「そうか…。からくり兵には自分の意思ってものはなさそうだったもんな。どこかに奴らを操ってる魔物がいるのか。油断ならないぞ、アナゴン!」
まあつまり、いつものごとく元凶をブッ倒しちまえば、この国の人間と操られてるからくり兵は救われるって事だ。さっさとケリつける為に気合い入れて作戦会議だ兵士長さんよ!


「昨日ついにこの城がからくり兵どもに襲われる事態となったが…。皆の力とゼボットのからくり兵のおかげで何とかしのぐ事が出来た」
兵士詰め所。トラッド兵士長を中心に会議が始まった。昨日の戦闘でケガ人がかなり出たため、参加人数は少なめだ。
「しかしすぐに新たなからくり兵がやって来る事は明白である。そこで我々は一気に敵からくり兵の拠点を叩くべく行動を起こしたい!」
室内がざわめく。ついに来る時が来たのだ。
「ゼボットのからくり兵には敵からくり兵の動きを狂わせる力がある。これを使えば敵からくり兵に阻まれずに拠点に侵入出来るはずだ。そして拠点に潜んでいるであろう敵の親玉を叩く!そうすればこの国は救われる!」
「おお!」
兵士長の力説に、聞く者の志気がいやがおうにも上がっていくのが解る。それだけ期待が大きいって事だ。
「そこでアナゴン!諸君には私とともに拠点へ赴いてもらいたい」
オーケイ!そう来なくっちゃな。
「へ、兵士長どのっ。我々は連れて行ってはもらえないのですか?」
重要な任務をにわか傭兵にかすめとられた兵士達は思わず不満の声をあげる。ちょっと悪い気がした。
「諸君らには城を頼む。入れ違いに敵からくり兵が襲って来るかもしれんからな。これは潜入作戦となる。人数は少ない方がよい。よいなアナゴン」
おうよ!
潜入作戦かあ。やってる事はいつもと変わんないんだけど、なんかあらためてそう言われると新鮮だよな。
「よし!アナゴン達は先攻部隊として敵の拠点へと向かって欲しい。敵の拠点はフォーリッシュの東にある。わたしはゼボットのからくり兵をつれて後を追う!
 会議は終了!各人は城の守りを固めてくれ。皆、頼んだぞ!!」

「ハッ!!」
つい一緒になって返事してしまった。ちょっと気持ちよかった。



兵士と傭兵達は城を守るため、それぞれの配置についた。俺達は、出発の準備が出来たなら兵士長に声をかけるという事になった。
出発の前に城内の様子を見て回った。最後の戦いへの意気込みと、不安が漂っているのが感じられる。
兵士達が口にする話題も、これからの戦いの事ばかりだ。
「敵の親玉か…。一体どんな奴なんだろうな、からくりのバケモノかそれとも…。ゼボットさんみたいなからくり技師だったりしてな」
一人の兵士のその言葉に、マリベルがクスクス笑いながら反応した。
「ゼボットさんみたいなのが相手なら楽勝よね。言っちゃ悪いけどゼボットさん弱そうだもの。アナゴンよりもね!」
失礼な奴め!言っとくが、俺はお前よりかは強いぞ?
「そうか。親玉ってのはからくり兵を作ったヤツの事なんだっけ。だったら本人の強さは大した事ないかもな」
油断は禁物なんじゃなかったんかい王子。
「からくり兵の親玉かあ。きっとでっかくてすっごく強いんだろうなあ。わくわく」
テメエは緊張感なさすぎだ野生児!
…なんかイマイチ気迫が足りないな俺の仲間は。ていうかやる気満々なのひょっとして俺一人?
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