ドラクエ7冒険記 <さくさくDQ劇場

FILE:44「何故につれない素振り」
からくりの事はからくりの専門家に頼っちまえという事で、第一人者だというゼボットなる人物に会う為に、俺達は城から西の地を目指した。傭兵になって最初の仕事がおつかいイベントかよとか思ったが、まあこんなもんか。


「やっと着いたようね、で、ゼボットさんは中にいるかしら」
人里離れた大陸の西の果てにぽつりと佇む建物。どうやらここが噂のゼボットの研究室らしい。中に入ってみると、妙な機械がごろごろ置いてあった。うーん、それっぽいぜ。
ゼボットは部屋の中で一人研究に没頭していた。何やらブツブツ言いながら、人に似た形のからくりを熱心にいじっている。
ごめんくださーい。
「よし…この回路をこう……。この歯車の噛み合わせが今ひとつ……」
おーい。
「で、このバネをこれと取り替えれば……うーん」
聞いてんのかタコ。
「いや、もう少し強めのこっちにした方が…」
地獄に落ちろ。
「忙しい所すまないが、オレ達の話を聞いてくれないかな」
いいかげんキレそうになった俺を制し、ゼボットに話し掛けるキーファ。こいつにこんな大人の対応が出来たとは意外だ。と同時に何か腹立つな。
しかしゼボットは俺達を見ようともせず、大儀そうにこう言い放った。
「お前達と話す事など何もない。僕の邪魔をするな」
そっちに話がなくてもこっちにはあるんだよ。
「おいらたち、ゼボットって人にたのみがあって来たんだ!」
ノーテンキなガボのその言葉に、ようやく顔をこちらに向けるゼボット。
「ああ、ゼボットはぼくの名さ。
 ふっ、そうか。トラッドの奴の差し金でやってきたんだな。僕にからくり兵を何とかさせようというのだろう?」

そーだ。何とかしろ。
「……帰ってくれ。城や町の人間がどうなろうと僕の知った事じゃない。僕としては戦いしか知らぬからくり兵に同情しているくらいだ。真に悪といえる存在が彼らではないという事が、人間達には解らんのさ。さっさと城へ帰ってトラッドの奴に言っておけ。二度と人などよこすな……とな」
解りました。…ってオイ!
ゼボットはそれきりまた、目の前の人型からくり製作に入ってしまった。もうこちらの言葉には耳を貸さない。そのからくりに触ろうとすると
「おいっ!エリーに勝手に触るんじゃない!」
とか叱り飛ばされるだけだ。
本人にその気がないのなら仕方ない。俺達はひとまず城に戻る事にした。ていうか腹立つからもうこいつ相手にしたくないし。
その前に、俺は部屋の本棚に挟まっているこんな手紙を見つけた。
”ゼボット様へ。明日あなたの兄上トラッド様と森へ狩りに行きます。大きな鹿が捕まえられたらあなたの所にもお届けします。だからお腹を空かせて楽しみに待っていて下さい。私もあなたとお会い出来る日を楽しみにしています。 エリー”


俺達はフォロッド城に戻って来た俺達を見るなり、兵士ヘインズは開口一番こう訪ねてきた。
「おお、おぬしら御苦労であったな。して、どうであった。ゼボット殿は協力してくれそうであったか?」
全然。
「うーむ……。やはり一筋縄ではいかぬと見えるな」
あっさり失敗を告げる俺の言葉にヘインズは表情を暗くする。そこに、トラッド兵士長が現れた。
「ふん…。あいつが我々に協力するなどありえん事なのだよ。私はあいつをよく知っている。だから分かっていた事なのだ」
「しかし兵士長どの。我々には他にこれといった手立てがなく…」
「それについてはこれから考えればよい」
「……」
ヘインズを黙らせ、トラッドは今度は俺達に向き直って言った。
「アナゴンよ。諸君らには続いて見張りの任を与える。この上の見張り塔に向かい、兵士と交代するように」
いえっさ。
「うむ。ゼボットの事はもう忘れて構わぬからな」
いいのかよ。と思いながらも、雇われの身な俺達は言われたままに見張り塔の屋上を目指した。
「見張りなんてかったるいわ。アナゴン、あんた一人でやっといてよ」
ふざけんなこのアマ。
「オイラ目には自信あるぞ!見張りはまかしとけ!」
あ、ガボが一人でやるってさ。
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