俺達はひととおり城内を物色した後、言われたとおり兵士詰め所にやってきた。そこには数名の兵士と傭兵、そしてトラッド兵士長が待機していた。
「ふむ、これでおおかたのメンバーは揃ったようだ。ではこれより作戦会議を始めたいと思う」
部屋にいる全員が兵士長に注目する。
「私は先程、最前線であるフォーリッシュの町へおもむいてきた。皆も知っての通り、あの町はからくり兵の進攻を止める砦となっており、この城より送った兵士や町の者達の疲れも限界まで達している。このままではやがてフォーリッシュは突破されこの城も襲われる事となるだろう。そしてこのフォロッド城が落ちたならこの国にはもう未来はない……。故に!なんとしてもからくり兵の進攻を我々の力で阻まねばならない!しかしからくり兵の力とその数による進攻を止めるためには戦力が足りない!そこで作戦が必要だ!諸君らに何かよい考えはないか!?」
しーん。
せっかく兵士長が力をこめて長々しく前置きしてくれたんだが、その言葉に答える者は一人もいなかったのでちょっと可哀想だと思った。でもそんないい案なんかすぐに出てくる筈もない。出てたらとっくに実行してるだろうし。
「……しばらく待つとしよう。皆で意見を交わしてくれ」
いざディスカッション。俺は他の奴らの意見を聞いてみることにした。
「みんなでからくり兵のかぶりものをして…ってのはダメだよなあ」
アホか!!お前一人でやれバカ王子が!
「ひとつずつおびき出して地道にやっつけるのも手だけど、それじゃ日がくれちゃうわね」
それに、それじゃあ今度はおびき出す方法を考えなきゃだめだぞマリベル。
そうだ、機械なんだから水ぶっかければサビるんじゃないのか?
「からくり兵にはこれといった弱点はないようなのだ。からくり相手では心理戦や兵糧責めも意味はない。かといってまともに戦える相手ではない。作戦などあるのか…」
とは、兵士の一人のヘインズの言葉だ。じゃあどうしようもないって事なのか?マリベルは早くも諦めモードで
「会議なんてしてないで、とにかくやっつけた方がいいんじゃない?」
とか言い出すし。そしてキーファはまだない知恵をしぼっている。
「やつらの好物をバラまいて注意を引く……。ムリか
」
好物って何だーっ!!お前一人で以下略。
そして、そんな中でもガボは一人だけノーテンキなのだった。
「みんなむずかしいカオしてるなあ。どうしたんだ?」
お前も考えろーーーーーーッ!!!!
不毛な話し合いは続く。俺の意見はといえば、「面倒だから全部ぶっ倒しちまう」というものだったんだが、その場にいた頭の悪い傭兵とまったく同意見だったので黙っていた。ていうか正直それでもイケる気がするんだけどなあ。実はここに来る前、実力をつけるためにしばらく戦闘を繰り返してたんだ。おかげでそれなりにレベルも上がったし装備も充実したし。
やがてトラッド兵士長が俺達に、
「どうだ?諸君にも是非意見を伺いたいが」
と聞いてきた。すいませんツッコミが忙しくて考えてるヒマが。
「うーん、さすがのあたし達もそんなにたくさんが相手じゃねー」
「そうだな…。連中が生き物ではなく作り物だって所につけこめないかな」
「おいら、よくわかんない」
以上です。
「兵士長どの」
その時、一人の兵士がそおっと手をあげた。
「なんだ」
「あの、その…。ゼボットさんに協力を頼んでみてはいかがでしょう」
何故か言いにくそうに意見を出したその兵士の言葉に、ヘインズ兵士が反応する。
「おお!あのからくり技師のゼボット殿か!なるほど、ゼボットどのならからくり兵をなんとかできるかもしれんなっ!」
からくり技師のゼボット?そんな奴がいるならなんでもっと早く頼まなかったんだよ。とロクな意見も出さなかったくせに心の中で突っ込む俺。
しかしトラッド兵士長は、ゼボットの名が出たとたんにしかめっ面になってこう言った。
「ふん…。あんな偏屈、何の役にも立たんよ」
「しかしこうなった以上、ゼボット殿の知恵をお借りするしかありませんぞ!」
「そうです!頼んでみても損はないと思います!」
「ならば好きにしろ。作戦会議はこれで終わる!各自解散!」
部下達の抗議をうけた兵士長はそう言い放つと、さっさと部屋を出てってしまった。ってちょっと、行っちゃうの?!いいのかそれで??
やっと実になりそうな意見が出て来たと思ったら、突然兵士長がキレて会議が終わってしまった。一刻を争う事態だってのに、大丈夫なのかこの国は。
「兵士長とゼボット殿の間に何かあったのであろうか。尋常ではなかったが…。何はともあれゼボットどのの協力は必要となるであろうな。さてどうしたものか…」
考え込む兵士ヘインズは、ふと俺達の顔を見て閃いたようにこう言ってきた。
「おおっそうだ。おぬし達は先ほど傭兵になったばかりであったな。初仕事としてゼボット殿のもとへ使いに行ってもらえぬかな。ゼボット殿はこの城より西に行ったところに研究所をかまえている。そこに行きゼボット殿に、我々に協力してくれるよう頼んできてくれまいか。おぬし達ならば無事に研究所まで辿り着けよう。頼んだぞ!」
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