ドラクエ7冒険記 <さくさくDQ劇場

FILE:39「ブタがいる ブタがいる」
「無事帰ってきただなや。しっかし、何とも不思議な経験をしたもんだ。人に話してもとても信じちゃくれなかろうよ!わっはっは!」
それ以前にお前はまともに人と話をしないだろうが。
というわけで、俺達は謎の神殿へと戻って来た。どうでもいいが、5人と1匹。冒険始まって以来の大人数だ。
「そんじゃアナゴン達とはここでお別れだなや。オラはガボ達さ連れて一足先に失礼するだあよ。森の皆がさぞかし心配してるだろうからな。さっガボ、行くだよ。ほんじゃアナゴン、達者でな!」
ああ。すっかり世話んなったな。
なーんか、今回はずっとこのきこりが喋って終わったような気がするなあ。気のせいか。
…と、去ろうとしたきこりが振り返った。ガボが後に続かず、その場から動かなかったからだ。
ガボは俺達をじっと見ている。きこりが不思議そうに、ガボの顔を覗き込んだ。
「ガボ、どうしただ?アナゴン達にもっとお別れが言いたいのか!?」
「ガボ……、いく…」
「分かってるだよガボ。だどもお前の気の済むまでお別れしてからでいいだよ」
「ガボ…いく……。アナゴン、いっしょ!」
…あい?
ガボの口から突然俺の名前が出て来て、かなり面喰らう。
「なんだって!?アナゴン達と一緒に行くってのかい!」
「ウォウォーン!ウォウウォウーン!」
きこりの驚きの声に答えたのはオオカミだった。それを聞いたきこりはさらに混乱する。何言われたんだろうか。
「そっ…そっただ事言ったって、お前!」
「ワオン、ウォーン!ウォウォーン!」
「……。そうか、分かっただ。きっとお前達が正しいだな」
ってあーもー!!何喋ってんだかわかんねーっつの!一人で納得してんじゃねえ!プリーズ文字放送!同時通訳っっ!!!
まったく。早いとこ事情を知りたいっていうのに、動物が相手なもんだからなあ。イライラするぜ。
俺の内心の激昂も知らず(当たり前だが)、きこりは俺にオオカミの言った事を話して聞かせる。
「アナゴン、こう言ってるだ。神の岩戸を開けて、あの魔物を出した奴が必ずいる。どんな奴だか解らないが、おそらく放ってはおけない強大な存在だろうってな」
「ワォーン、ウォウォン!」
は、はあ。
いきなり話が大きくなったので一瞬戸惑った。
「おい、何だかどえらい話になってきちまっただな!アナゴン、オラからも頼むだ。ガボを連れてってやってくれや。きっと役に立つだあよ。悪い奴をやっつけて帰って来るまで、オラあこいつと待ってるだ」
「ウォンウォン!」
はあ。
「じゃあなアナゴン。オラは家に帰るだあよ。達者でな、ガボ!」
そしてきこりとオオカミはアッサリと去っていったのだった。


「強大な存在」「悪い奴」。
これまで冒険を重ねてきて、事件の背後に必ずと言っていいほどそんなものの影が見えかくれしていた。実態が全くつかめないからあえて無視してきたが。
それらが全て同一のものなのかは解らない。沢山いても困るけど。何にせよ、次の冒険からはその存在をより意識しなきゃいけなくなるかもしれないな。
もしかしたらいつか、正面きってそれとケンカするような事になるのかもしれないけど…。
「心強い冒険の仲間が一人増えたってわけだな。よろしく頼むぜ、ガボ!」
ノー天気なキーファの声が、俺の真面目な思考をかき消した。こいつは…。
マリベルもそれに続く。
「いいこと。この先本当に何が起こるか解らないんだから、ちゃーんとあたしを守るのよ。ま、とにかく今日からあんたも私達の仲間よ。よろしくね、ガボちゃん」
…お前は。こんな小さな子供にもそういう事要求するのかよ。
あー、まあふつつかなパーティーですけど、末永くお願いします。
ついで言うと俺達かなり貧乏だから、自分の食いぶちぐらいはきっちり稼げよ。
「ガボ!」
笑顔で元気に返事をするガボ。ちゃんと分かってるのかかなり不安だ。
「さあてアナゴン。世界を脅かす謎の存在とやらを探しに出かけようぜ!」
仲間が増えて上機嫌のキーファが俺の背中を叩いた。まったく呑気でいいよなお前は!
こうして4人になった俺達パーティーは冒険の続きを開始すべく、復活したであろうオルフィーへと向かった。



もはやお馴染み。大海原には新しい大陸が出現していた。当然、先程救ってきたオルフィーのある大陸だ。
で、町に入った俺達は早速凍り付いた。
そりゃあ、輪になってぐるぐる回り続ける動物の群れなんぞ見たら誰だって凍るわ。
話し掛けても鳴くだけで、一体何事なのか全く解らない。
しかも、町の中に一人も人間がいないのだ。過去に事件があった時以上に異様な事態だ。たまに人間がいたかと思うとただの移民希望者だし。
「こ、これは…。信じられん!また動物だらけなのか!?」
「ちょっとアナゴン!こんな事があっていいの?私達のした事が何にもならなかったっていうわけ?冗談じゃないわよ!」
そんな事言われたって、俺も何が何だかわかんねーよ!
あまりの事態にまた家捜しを忘れてしまっていた。なんかもう、動物が嫌いになっちまいそうだ。

いいかげん混乱してどーにかなりそうな俺達だったが、これはただ単に町の人間が動物の着ぐるみを着ているだけという事が判明したのだった。
自分のメイドにバニーガールの恰好をさせて喜んでいるお盛んな町長の話によると、
「今この町は動物達への感謝祭の真っ最中。その昔この町の危機が動物達の働きによって解決した事がありましてな。その動物達を讃え、ぬいぐるみを着てその気持ちを知り、感謝するのがこの祭り」
だそうだ。なんて紛らわしい祭りなんだまったく。
俺達が不機嫌と不満を思いっきり顔に出しているのに、町長は全く気がついていない。それどころか、
「そうじゃ!せっかく来なすったのじゃから参加していかれるがええ!」
なんて言い出しやがったのだ。参加ってまさか、俺達も動物の恰好しろってのか?!
当然嫌だったが、何でも動物の恰好してないと町の人が話をしてくれないらしい。情報収集の為にもここは仕方なく祭りに参加する事になった。
4人して豚のぬいぐるみを着こみ、四つん這いで町を歩き回る。ガ○レンジャーか俺達は。なんだか、人間としてこれでいいのかって気になってきてかなりブルーだ。
ブルーといえば、俺とキーファ、ガボの男衆が着ている豚のぬいぐるみの色は、目にも鮮やかな。こんな血色の悪い豚がいてたまるか。町をざっと見回しても、こんな異常な豚は俺達だけだった。ちなみにマリベルのカラーはどピンクだが、青よりかはマシだろう。
しかしこんな悲しい恰好までした甲斐もなく、これからの旅に有益な情報な特に得られず。分かったのはいかにこの町が平和かという事だけだった。
ガッカリした俺達はその後つまんないゲームで「モンスター図鑑」をゲットし、石版を求めてさっさと神の山へと向かうのだった。
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