ドラクエ7冒険記 <さくさくDQ劇場

FILE:32「まっくらクライクライ」
ここ毎日、俺達は不思議な冒険に帆走している。
謎の神殿に石版のかけら。過去に消えた島々。
災いの元凶を断てば、その島は現代に蘇る。
世界の再生。過去と現代を行き来する方法を知る、俺達だけに出来る事だ。

エンゴウからエスタードに戻ってきた俺達は早速神殿に行き、青い石版を一枚完成させた。
さあ、今度は一体どんな土地がどんな問題かかえてんのかな?


暗。
ウッドパルナの時と同じ闇だ。単なる夜の暗さとは違う、何とも嫌な感じの闇。
石版の力に運ばれて俺達が到着したのは、そんな闇に包まれためっちゃ小さな島だった。島の端から端まで簡単に見渡せる大きさだ。
すぐ目の前に町らしき集落が見える。行ってみよう。
ていうかそこしか行くとこねえし。

暗ァッ!!
「うわっ!なんかむちゃくちゃ陰気な感じの町ね。ここってアナゴン、あんたみたいのが住むのに丁度いいんじゃない?」
なんだとこのアマ。
すげー失礼な事をぬかしたマリベルを睨み付けた。
それはともかく、マジで暗いぞこの村。ウッドパルナの時と比べ物にならない暗さだ。
町中に生えている木なんて全部枯れてるし、地面も建物も荒れ放題だ。そして何より、
「なんだろう。人の気配がしないな…」
そう。キーファの言ったとおり、人の姿が見当たらないのだ。ゴーストタウンか?
その代わり、おばさんやら農夫やら…町の人々をかたどった石像があちこちに立っている。作られてからかなりの年月が経っているらしく、ボロボロに風化していた。
「おかしいな…。どうしてこんな何でもない所に石像なんか立ってるんだろ?」
首をかしげる俺達。立っている場所もそうだが、何でわざわざこんな一般市民の石像作るんだろう。普通石像っていったら、崇めてる神様とか昔の偉人とかだろうに。
まるでこの町の住人に代わるように石像は佇んでいる。不気味だ。
とりあえず、その石像を調べてまわる。どれも何の変哲もないただの像だけど…。何か妙だよな。
「ねえアナゴン。あたしもこんな事言いたくないんだけどさ…。これってばもしかして、本当の人間が石になってる…って考えるのが普通よね」

町の入り口には「ダイアラックへようこそ!」という朽ちかけた立て札が立っていた。この町の名前らしい。
入ってすぐ正面には、2体の水神の像。そして町の中央にはヘンな石柱が立っている。人の手によって造られたものではなく、自然の産物のようだった。
特徴としてはそれくらいか。しかし、どうしたもんかな…。
と、町の奥のほうで一人のじじいを発見。石じゃない。ちゃんと生きた人間だ。
何となくほっとしながら、俺達はそのじじいに話し掛けてみた。
やい、じじい。
「おお…なんと珍しい。このような所に旅のお方とは…。目はおとろえておりますが……分かりますぞ。どうやらさぞ名のある方のようですな」
分かる?
「…して、このような荒れ果てた地に一体何のご用で参られましたか…」
こっちが聞きたいわ。
「実は…。ボク達もまだ分からない事が多いんですが…」
キーファがじじいに、今までのいきさつを話して聞かせた。どうでもいいけど何でこいつは面識のない人間と話すとき一人称が「ボク」になるんだろう。きもいっつの。
「何と!では時を越えて失われた世界を再び元の姿に戻そうと……。」
話を聞いたじじいが驚きの表情を見せる。しかし、それはすぐ沈んだものへと変わった。
「しかし…この町の事はお忘れになって下さい……。今ではすでに遅すぎたようです。ご覧になったと思いますが、この町の人間はすべて石となっております。そしてこの恐ろしい呪いをとく方法はもはや一つも残されてはいないのです。私はここに座ったままこの町の最後を見定めるつもりゆえ…。さあ、新たな旅に向かわれなさい」
何ー、せっかく来たのに手遅れだって?ていうかあの石像はやっぱり元は人間だったんだな。怖い事があるもんだ。
しかしどうするよ。ここで何もせず帰るしかないのか?俺達は。
その時、じじいが何かを思い出したように声をあげた。
「おお、そうじゃ!旅の方。しばし待たれよ。今後もまだ旅を続けるおつもりならこれを持って行かれるがよい」
そう言ってじじいが差し出したものは、キラキラ光る小瓶だった。中に液体が入っている。
「それは天使の涙といって、石にされた人々の呪いを解くといわれる伝説の秘薬です」
え?それじゃあ…
俺の疑問をみなまで聞かずじじいは続ける。その顔も口調も、何だか口惜しそうな感じがした。
「ならば何故私がその薬を使わないかと思われるでしょう。見ての通りこの町の石像は長年風にさらされ見る影もなく朽ち果てております…。この状態になっては天使の涙はもはや効かないのです」
ああ、そういうことなのか。キレイな状態じゃないと薬が効かないワケね。
「私がもっと早くその薬を手に入れられれば…。町の者は私を恨んでいることでしょう……。事実、夜になると……」
??
「いや……今の話は忘れてくだされ。とにかく旅の方よ。この村は今も暗いですが、夜にはさらに辺りが暗くなります。もしもこの村で宿につくならくれぐれも夜は外に出ないことです。さあ、足止めをして失礼しました。今度こそ行かれるがよい」

「夜になると…っておじいさん、何か言いたげだったな。なんだろう。夜になると何があるんだろう?」
「ねえアナゴン、今のおじいさんの話、妙に気になったわよね。夜になったら絶対何か起こるわよ!アナゴン、どこかで夜を待ちましょ!」
キーファもマリベルもやはり、じじいの話に引っ掛かるものを感じていたようだ。
「呪い…。やっぱりあの石像は本物の人間だったんだな。う〜ん、オレ達の力で何とか出来ればいいんだけどな…」
当然このまま帰る気なんかない。俺達がここに来た事には、必ず意味がある。俺達はここで何かをしなきゃいけないんだから。
まずは夜を待って、それから行動開始だ。
俺達は村の宿屋に無断で泊り込んだ。


声だ。悲しげな声が聞こえる。
真夜中、目覚めた俺は、その声に誘われるように宿の外へと出て行った。
ちなみにキーファとマリベルはぐーすか寝ていたので置いていった。起こすのも面倒だし。
外では、なんと町の人の石像がぼんやりと光を放っていた。じじいが言ってた「夜になると…」っていうのはこのことだったのか。
しかし、不気味だな…。夜中に町中の石像が光ってるなんて、まるで怪談じゃないか。
俺はおそるおそる、石像のひとつに触れてみた。
するとそれは、まるで何かを語りかけるように光を強める。
そして…。俺はその石像の、人間だった頃の記憶を見せられたんだ。
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