ドラクエ7冒険記 <さくさくDQ劇場

FILE:30「やだねったら やだね」
「や〜〜っと起きたのね。まったく、どれだけ人を待たせば気が済むのよっ!」
翌日。目覚めた俺が家から外に出てみると、待ち構えていたのは腕組み仁王立ちのマリベルだった。不意にくらったキンキン声が寝起きの頭に響きまくる。
「…まったく、こっちはパパを説得するのに徹夜したっていうのに!アナゴン、どーせあんたの事だから一人ででも旅に出ようとか考えたんでしょ!」
いえす。
「言っとくけど、楽しい事を一人占めしようったってそうはいかないんだからね!アナゴン!当然あたしも一緒に行くよ!」
はい。やっぱりこうなっただろ?
こいつがあのまま黙って引き下がる訳がない。心配なんて最初っからしてなかったが、それで正解だった。
完徹した割にはやけに元気じゃねーか等ツッ込む気力もないまま、俺はマリベルと連れ立って歩き出した。
目指すは今一番気になる島、復活したエンゴウだ。

「あ、そうそう。キーファの事なんだけどさ……。あいつの事は、まあしょうがないわよ。あれでも一応王子なんだから」
小舟の所に向かう途中、マリベルが残念そうにこう洩らした。
まあ、あれでも一応な。俺はあいつを王子として敬った事なんてタダの一度もねーけど。
ああいう風に王様から言われている所を見てしまうと、やっぱりキーファは腐っても「王族」なんだなと思う。その自覚が一番無いのは他ならぬキーファ本人なんだが。
でも、キーファもマリベルと同じ…。いや、この件に関してはマリベル以上に執着してる筈だ。今頃城で何かしら抵抗は続けてるんだろうな。
なんて事を考えながら俺達は、小舟が止めてある入り江に通じる洞窟にやって来た。2人で階段を塞ぐ石のフタを動かそうとしたんだが…。
ガーン、動かねーー!!
重い石のフタは、俺とマリベルがいくら押しても引いてもビクともしなかったのだ。
何てこったい、俺達2人の力じゃこの石どかせないんかい!これじゃ島の外に出られねーじゃんかよ! キーファがいなけりゃいないで何とかなるとか思ってたんだが、いきなりコレかい。困ったぞ困ったぞ。
いつまでも動かない石のフタを2人でどーこーしてても埒があかない。何か対策を考えねば…。俺達はひとまず洞窟を出た。すると
「へへへ。どうやら間に合ったみたいだな」
そこにはキーファがいた。案の定、というか当然のごとく城を抜け出してきた様子だ。
「待たせたなアナゴン!マリベル!さあ冒険の続きと行こうぜ!」
待ってねーよ。
「な…何言ってんのよ、あんた。お城の方はどうするつもりなのよっ?」
同時に突っ込む俺とマリベルに、奴は胸を張って笑った。
「実はな……へへへ。また兵士達の目を盗んで抜け出して来たんだ。昨日親父に言ったんだよ。自分の納得がいくまでオレは何度でも城を抜け出すってな!だからこれでいいんだよ!誰が何と言ってもどうせオレは行くんだからな」
「だからこれでいい」ときたかこの不良王子が。素で開き直ってやがる。
ああ、やっぱり心配なんてしてなくて本当に良かった。もうこの先何があってもこいつの事だけは心配しねえぞ俺は。
「…と、話してても仕方ない。昨日聞いた、ずっと北の大陸に行くつもりだったんだろ?よし、それじゃ張り切って行こうぜ!」
仕切るな。
「ホントにキーファって、思い込んだらどこまでもって感じよね。時々ついて行けないけど。でもまあ、今回はよしって事にしておく?アナゴン」
マリベルの言葉に俺はうーんと上を向いた。
…とりあえず、これで石のフタは動かせるな。


再び3人になった俺達は小船に乗り込んだ。
不思議な地図を広げると、ここから北の位置に新しい島が記されている。
そこを目指して舵をとる。さあ、エンゴウはあの噴火騒ぎから一体どういう風になってんのかな?
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