俺達は、その島に上陸した。
「こ、この島は……?どこかで見たような気がするぞ」
キーファも俺と同じ事を思っていたらしい。この変に歩き慣れた地形、まるで…。
俺達の足は自然に、その村に向いていた。
「ここって……パトリックのいたウッドパルナに妙に似てると思わない?なんかハンクさんとかパトリックとかがそのへんに居そうな感じ…」
と首をかしげるマリベル。彼女の言う通り、この村はあのウッドパルナにそっくりだった。建物や木の位置とか、土地の一角をぐるりと囲む池なんてそのまんまじゃないか。ただ、屋根もなかった教会がやけに立派な建物になってたり、家屋が増えてたり、何より至る所に花が咲き誇ってたりと、俺達の知るウッドパルナとは明らかに違う部分も見受けられる。魔物に痛めつけられた時の痕跡なんかカケラも見当たらないし。何なんだ、一体。
とりあえず、村人の話を聞いてみよう。スイマセーン。
「まあ!旅の方なんて珍しいわ!ここは森の中の村ウッドパルナ。どうぞゆっくりしていってね」
ワオ。
「この村はウッドパルナなのか!?ってことはハンクさんとパトリックもいるって事だよな! アナゴン、探そうぜ!」
キーファの言葉に頷く俺。様子は違うけどやっぱりここは、石版に導かれた俺達が行ったあのウッドパルナなのか。なんか、村人に言われて納得いったようないかないような、変な感じだ。俺は半信半疑のまま、真相を確かめる為。そしてハンク達の姿を探す為、村の中を見て回る事にした。
「え?こんなところに島はなかったはずだって?おいおい船酔いでもしてるんじゃないか?この島はずーーっとはるか昔からここにあったぜ。あんた達が知らなかっただけじゃないのか?」
漁師の息子のこの俺様が船酔いなんぞするかオタンコ茄子。ついで言うと知らなかったワケねーだろ。
村人達の話を聞くかぎり本気でここはウッドパルナで、この島も当たり前のよーに存在していたらしい。しかもここウッドパルナの人間はグランエスタードの事も昔から知っているようだ。もっとも海を怖がって、エスタード島に行った事のある人は今まで居ないようだが。
さらにワケが分からなくなったのは、村の中央の見晴らし台にいた詩人から聞いた話。
「はるか昔、この村は二度までも魔物に襲われた事があるのだそうです。ニ度目の時には村の女達をさらわれ、空の青さまでも魔物に奪われたとか。しかしそのつど村の戦士が魔物を倒し、この村を救ったのだと言われています。自らの危機を自らの手で解決する!この伝説はこの村の人々の誇りでもあるのです」
はるか昔ってアンタ。
ウッドパルナが真っ暗になって女達がさらわれたってのは最近の話じゃないのか?ていうかそれを俺達とハンクで解決したのがついさっきの事じゃねえか。それが何だ、伝説たぁ気の早い話だな。
キーファもマリベルも首をかしげている。きっと俺と同じ事思ってんだろう。
そして俺達は、この一連の不可思議な状況が何なのか、やがて得たこの証言で一応の答えを出すに至るのだった。
「この家のすぐ外、村のまん中に高い見晴らし台があるのを御覧になりましたか?使われなくなった呼び名ですが、あの見晴らし台にはご先祖様の名前がつけられていたのです。 見晴らし台の名前はハンクの塔。かつてこの村を救ったという偉大なご先祖様の名なのです」
なんとハンクは既に過去の人間だったのだ。しかも話を聞くかぎり相当昔の。さっき見晴らし台にいた詩人が言ってた「はるか昔村を救った戦士」ってのは、ハンクの事なんだろう。そしてそのハンクと一緒に、俺達はウッドパルナを救い出した。という事は…。
「これってどういう事?やっぱここはウッドパルナみたいだけど……。なんかオレ頭が痛くなってきちゃったよ」
いいかげん察しろ馬鹿王子。
俺達は石版の力で、今から「はるか昔」のウッドパルナに行って救って帰って来たって事なんだろ?空間を飛んでっちまったついでに時間をも超えてたってわけなんだな。我ながら強引な考えだと思わなくもないが、これで全て合点がいくってんだから凄いぜ。
何でウッドパルナの島が今になって姿を表したのか(今まで無かったのか)は分からないが。まあそれも「石版の力」だと今は思っておこう。うーん、便利な言葉だ。
(他の2人はどうだか知らないが)全てに納得がいった。
それにしても、あれからうまい事いってたんだなウッドパルナは。マチルダの悲しい最後も、俺達やハンクが味わったあのやるせなさも、無駄にはならなかったんだ。ちゃんと今の今まで、その想いが繋がっている。
…なんか、こうやって形になってると嬉しいもんだな。そりゃあ、伝説に語られてるのはハンクだけだが。全然気にならないのが不思議だ。
村とカラーストーン採掘所を巡って緑の石版、赤い石版を手に入れ、俺達はウッドパルナを後にしたのだった。
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