不思議な夢から覚めた俺は、キーファとマリベルと一緒にパトリックん家の様子を見に行った。
「アナゴンさん達、見てよ!お父さんのケガが治ったんだよ!」
俺達の顔を見るなりパトリックは嬉しそうにこう言ってきた。その傍らには、昨日まで苦しそうにベッドに横たわっていた父親が立っている。
「私の名はハンクといいます。私がケガで伏せていた時の話はパトリックから聞いております。見ず知らずの私のために危険をおかして緑色の宝玉を取って来てくださったとか。ただただ心から礼を言わせて頂きます」
いやいや。
「お父さん!それとマチルダもね!マチルダはケガをしたお父さんを塔からこの村まで運んでくれたんだから!」
「…マチルダというのがさっきお前が言っていた女戦士の事か。」
「そうだよ!マチルダは強くてね、この村とお父さんを守ってくれたんだ」
「…そうか。ならばいずこかで会った時には礼を言わねばならんな」
ハンクはマチルダの顔を知らないのか。きっとマチルダが助けに入った時にはもう、意識もない状態だったんだろうな。
「それはさておき、アナゴンさん達は何故にこのような村にまいられたのか?」
好きで来たんじゃない事だけは確かなんだけど。
「え〜〜っと……。どこから話せばいいのかしら」
マリベルがこれまでのいきさつを最初から、ハンクに話して聞かせた。果たしてこんな突拍子もない話を信じてくれるかどうか疑問だが。
「そうでしたか。自分の国に戻ることが出来ず困っておられたとは……。私もあなた方の力になりたいと思いますが、果たして何をどうすればよいやら……」
おお、あっさり信じた。
「しかしこの地に根付いた悪しき力を払えば、あるいは活路が見出せるやもしれませんな」
何故そーなる。あんた、ゴーインにそういう方向に持っていこうとしてないか?
「よし!アナゴンさんがたへの礼となるか分かりませんがすぐに魔物退治に出るとしましょう!」
急過ぎるわ!やっぱ強引だこのおっさん。
ていうかあんた怪我治ったばっかじゃねえかよ!
「アナゴンさんがたのお陰でキズは完全に癒えております。心配は御無用です。それよりアナゴンさんがたが自分の国に戻れる機会がいつあるやもしれません。アナゴンさんがたの事は私が守ります。東の塔まで私について来てくださいますな」
結局俺等も行くんかーい!
「ハンクさんと一緒に魔物退治か…。クゥ〜っ!なんかワクワクするぜ!」
一人ではしゃぐな馬鹿王子。
…仕方がない、行くとするか。それが自分達の為になるのなら。
なんかいいように利用されているような気がしないでもないが、考えないでおこう。
願わくば、魔物を退治する事で本当に国に帰る事が出来ますように……。
その塔は、村から東にあるの岩山を、北から超えた所にあった。誰が何のために建てたのかは知らないが、すっかり魔物の巣窟になってしまっているらしい。
扉を開けて内部に侵入すると行き止まりだった。なので外にでて階段を上がり、2階から中に入ろうとした。すると、馬鹿デカい石のバケモノが扉を塞いでやがる。
近付いて来た俺達を睨み付け、そのデカ石野郎…ゴーレムは喋り出した。
「グオオオオォォ……。一番後ろにいる男……。貴様の顔、どこかで……。」
何ハンク、知り合い?
「グオオオ……。思い出したぞ。いつだったか親方様に倒されたバカな人間か……。 せっかく死なずに済んだものを…わざわざ殺されに来るとは……。どこまでも愚かな男め…。今すぐこの場で死に絶えるがいい……」
ゴーレムが襲い掛かってきた!うっわ、さすがにこのデカさだけあってすげえ迫力だ。
「つっ…強そうだけど……、ハンクさんもいるんだし、ビビらず行くぞ!アナゴン!」
言われるまでもねえや!
俺達はゴーレムを迎え撃った。ハンクがルカニを唱えて奴の守備力を下げると、すかさず俺達が斬り付ける。マリベルは今まで戦闘を重ねていくうちに覚えた炎の魔法、メラを何度も奴にめがけて放った。
ゴーレムはその巨体をひねり、反動をいかして俺達に拳を打ち付けてくる。それが痛いのなんの。だんだん何が何だか分からなくなって、俺達はむちゃくちゃに反撃しまくった。ただ一人冷静なハンクが、体力のヤバくなった俺達に回復魔法をかけてくれるのが有り難かった。
奴の繰り出す一撃は大きいが動きは鈍い。なので奴が攻撃してくる前に俺達は態勢を整える事が出来る。それを活かして戦いを続け、ついにゴーレムを倒す事が出来たのだった。
倒れたゴーレムは宝箱を持っていた。開けてみると、なんと緑色の石版が入っていたのだ。なんでこいつがこんなモン持ってるんだろう。
ゴーレムが守っていた扉から中に入り、魔物の親玉を探す。途中何度も魔物の群れと遭遇したが、ゴーレムを倒した俺達にとってはもう怖くも何ともない。改心の一撃なんかも出したりして、すっかり戦闘がサマになった俺達は魔物達を次々に蹴散らしていった。
赤い石版をはじめとしたお宝もいくつかゲットし、ついに塔内部の行き止まり地点に到着した。これ以上先はない。
しかしそこには親玉はおらず、代わりにいたのは一匹のカニだった。
……なめてんのか。
|