やがて俺達は丘へと抜けた。森を出てもやはり辺りは真っ暗で、何やら不穏な空気が漂っていた。
と、むこうに何やら墓石のようなものと人影が見えるが…あれは女戦士か?
「あなた達は…誰?」
こちらにに気付いた女戦士が歩み寄り、俺達に問いかけてきた。慌ててキーファがそれに答える。
「驚かせてしまってすいません。ボク達は怪しい者じゃありません」
お前いつの間に一人称が「ボク」になったんだよ気持ちわりーな。
「あ…それと、後ろにいるのはアナゴンとマリベル。ボクの仲間達です」
……やっぱ気持ち悪い。
キーファに冷たい視線を向けつつ女戦士の話を聞くと、彼女の名前はマチルダというらしい。そこにある墓に供え物をしようにもここらには花が咲かないので、代わりに雑草を供えようとしていた所なんだそうだ。雑草なんか供えるんなら何も供えない方がいいって気もするが、まあ気持ちなんだろうな。
「あ!そうだ!花ならあるわよ! …って、タネだけど」
見兼ねたらしいマリベルがマチルダに花の種を渡した。マチルダはその種を墓の前に植える。でも無事咲くのか?こんな暗い空の下で…。
でも、マチルダはとても嬉しそうだ。
「ありがとうございます!これで死んだ者の魂も少しは癒されましょう。 ところで…。あなた方はこれからどこに向かうおつもりでしょう?」
それが、どこに何があるのかも解らない状態なんだよな。ていうかやっぱりここはエスタード島じゃないのか。困ったな。
マチルダが言うには、今はエスタードには帰れないらしい。なのでとりあえず、彼女の申し出を受けて近くにある村まで送ってもらう事にした。
次々と襲い掛かって来る魔物達を皆でぶっ飛ばしつつ村に着いてみると、俺達に何の挨拶もなしにマチルダがいなくなっていた。まあ、無事に村に着けたからよしとしよう。この村の住人だったらまた会う事もあるだろうしな。
「ようこそ旅の方。ここはウッドパルナ。英雄パルナの伝説の村です。しかしそんな勇ましい伝説も今ではかえって…。はあ」
はあ。なんかあったの?
村人の一人がした、やけに沈んだ村の紹介に俺達は首をかしげる。とにかくその村の様子を見てみたんだが……、暗っ!
空の暗さにも負けない村の雰囲気の暗さに思わず引きまくった。それに加えて村人の行動が尋常じゃない。畑に穴開けてる奴、家をせっせと解体している奴、地面に寝っ転がってる奴、燃えて炭になった木の前に佇む奴…。
分かった。これは何かの儀式に違いない。こいつらのこの怪しい行動があの暗い空を造り出してるんだよきっと。そうだ、そうに決まった。
…と思ったら、村人達がそんな事をしているのはどうやら魔物のせいらしいという事が分かった。なんでも村の女を全員さらった挙げ句(そういや女の人が一人も見当たらない事に今気付いた)、返してほしくば村を壊し続けろと要求してきたらしい。へえ、そりゃ大変だ。道理で皆暗い訳だ。
でも、何がしたいのかよく解らん魔物だな。そんな事して自分達になんの得があるってんだろう。スケールのデカい嫌がらせだとは思うが。
まあ、魔物の気持ちなんて解ろうとするのが無理なのかもしれない。
さらに村人から、この村に伝わる英雄パルナの伝説というものを聞かせてもらった。20年程前にこの村が魔物に襲われた時、たった一人でその魔物に立ち向かい相打ちしたパルナという戦士がいたそうだ。本当はパルナ一人が戦うのでなく、他の村人も援護をするはずだったのだが、皆怖じ気付いて誰一人パルナを助けてやらなかった。そのせいでパルナは死ななければならなかったとか。…なんだか、良いんだか良く無いんだか判断しにくい伝説だな。
ちなみにウッドパルナという村の名は、その英雄パルナからとったらしい。
しっかし、見知らぬ地でやっと辿り着いた村が廃村寸前とはついてねーな。エスタードにも戻りたいのに、どうすりゃいいんだよ俺達は?!
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