選ばれちゃった俺達が遺跡の入り口をくぐると、そこは小さな部屋だった。床のまん中には地下に通じているらしい梯子つきの穴が開いている。そしてその穴を囲むように床に刻まれた古い文字。なになに…?
遺跡が開かれた時 伝説は再び語られん
心の目を研ぎすまし 示された言葉の謎を解きあかすべし
ただ闇雲に進もうとも ゆく道は開けない
並び立つ聖者達は遺跡を守り また復活の道を示すであろう
か。……って、あれ?
不思議そうな顔のキーファと顔を見合わせる。
「なんでお前、古代文字なんて読めるんだ?」
なんでだろ。なんか読めちった。
「王子のオレだって読めないのに」
関係あるのかそれ。
「ま、いいか。読めるんならラッキーだもんな。」
お前のその、なんでも「まーいいか」で片付ける癖をどうにかしろ。
でも本当に…なんでだろう。
俺達は梯子、階段をつかってどんどん地下に降りていく。あの遺跡の地下がこんなに深かったなんて、思いもしなかったぜ。驚きだ。
「さあアナゴン、どんどん先に進もうぜ!」
「この場所ってどれくらい昔に造られたんだろうな」
「アナゴン。オレ今嬉しくって嬉しくってたまらないよ!」
「この場所のこと誰も知らないんだろうな。知ってるのはオレ達だけなんだよな」
「お前もドキドキしてるだろ?こんなに興奮してるのは生まれて初めてだぜ!」
黙れうるさい。
まったく、何があるか分からないってのにはしゃぎ過ぎだコイツは。地に足のついていないキーファを見ていると、俺は冷静でいなきゃ駄目だなとつくづく思う。ああ、俺ってなんてしっかり者なんだろう。
とはいっても初めての大冒険。俺だって興奮している。はやる気持ちを押さえつつ慎重に遺跡内部を探索していたら、やがて「聖者の兜」というものを発見した。
「聖者の兜か…。誰の兜なんだろうな」
聖者のだろ!
ほんと、俺がしっかりしてなきゃ駄目だ…。
周囲に水が滝のように流れる場所があり、そこには4体の聖者の像が立ち並んでいる。色んな仕掛けを動かして散々うろうろして手に入れた、聖者の兜をはじめとする武器防具をそれぞれ捧げた。すると不思議な力で閉ざされていた像の後ろにある扉が開く。いよいよ大詰めってカンジだ。
扉をくぐり通路を抜けると、そこには神殿があった。遺跡のこんな下に神殿まであるとは…。そこに漂うピンと張りつめた空気に、俺もキーファも緊張感が増す。口数も減る。
何て言ったらいいか分からないけど、とにかく不思議な場所だ。
炎を使った仕掛けを解いて神殿の中に入る。と、廊下の突き当たりに何か落ちてるぞ。…欠けた石版?なんか黄色いな。
俺が拾い上げたそれをキーファが覗き込む。
「何だろうな、そのきったない石版は? ん?まてよ。確か古文書にそんな石版の絵があったような…」
ああ、あった。俺も見た。
とりあえずその石版のかけらを持っていく事にして、俺達は神殿内部を把握するべく歩き回る。まず足を踏み入れたのが、全体的に緑がかった塗装がされている部屋だった。その空間には緑色の台座が4つか5つ並んでいて、それぞれ四角い窪みがある。隣の部屋もそんな感じの、赤い塗装に赤い台座というものだった。
赤い部屋の隣は、そことはまた違った広い場所。中央に何やら不思議な地図が落ちていたのでゲット。入り口の閉ざされた、4つの小部屋らしきものが四方にある。そのうちの一つには青い炎がともっており、そこには入れそうだったが今は後回しにしておこう。
黄色い台座の部屋に入ると、さっき拾った石版のかけらと同じようなものが落ちていた。そのすぐ近くの台座には、石版のかけらが一枚はめこまれている。…なんかあからさまに君の持ってるその石版をはめてみてね!とか言われてるみたいだぞ。
カパ。カパ。
俺が拾った石版はまるでジグソーパズルのように合わさり、見事台座に収まった。でもまだその台座には空いているスペースがある。
「う〜ん、あと一枚足りないって感じだな。ここに来るまでにけっこう時間も経っただろうし、さてどうするか……。 よし、さっきの炎のともった小部屋にでも入ってみようか!!」
キーファの提案をうけて俺達はその小部屋に入った。なんか中央に、青くねじれた空間がうねうねしてる。思いきって飛び込んでみたら、意外な所にワープしてしまった。
「あれれ?ここはいつもアナゴンと探検していた洞窟じゃないか!」
そうだ。遺跡の外にある穴ん中の、七色の入り江に通じる道だ。なんであの神殿から繋がってるんだろう…。
洞窟からいつもの道を通って、俺達はいつも見なれた遺跡の一角に顔を出した。とたんに朝の眩しい光が目を刺す。
「うわっ!朝日が眩しいな!もうこんな時間になってたのか。 アナゴン、オレはこれから城に戻って他にも石版がないのか探してみる」
え。ちょっとは寝たほうがいいんじゃないのか?俺もうクタクタなんだけど。
神殿を抜けて緊張もとけてた俺は、思わず溜め息をついて肩を落とした。お前一晩中起きて動き回ってたのなんでそんなに元気なんだよ…。
「お前も色々心当たりの場所をあたってみてくれ!何か見つけたら必ずオレの所に来てくれよ!じゃあ、また後でな!!」
そして意気揚々と去っていくキーファの背中をしばらく呆然と眺めてから、俺は重い足をズルズルひきずって帰宅するのだった。
ああ、マジ疲れた。
この疲れが、足の重みが、さっきまでの冒険が夢や幻ではないという事を嫌という程教えてくれているようだった。
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